米国でも2番目に大きい健康保険会社のAnthem(アンセム)がブロックチェーン技術を用いて患者のデータを管理する予定だと発表しました。
現段階では計画中だが、ブロックチェーンが医療に導入されることにより、より安全に顧客データを管理できるようになります。
今回は、Anthem(アンセム)のサービスについてわかりやすく解説していきます。
パッと読みたい人の目次
医療保険Anthemのサービスとは
この計画中であるAnthem(アンセム)のサービスとは、ブロックチェーン技術を使い、患者が安全に医療データにアクセスして共有できるようするものです。
サービス内容としては、患者がモバイルアプリを使ってQRコードをスキャンすると、様々な医療データに安全にアクセスし、共有できるようになるものです。

このAnthem(アンセム)のサービスにはアクセスに期限が設けられています。予約が完了するとすぐにアクセス権を取り消して、医療記録を非公開にできるそうです。
また、サービス利用者は自身のデータを共有するかどうかを、自分で選択できるともされています。
Anthem(アンセム)は現在、このサービスのパイロットテストを、小規模なグループに対して実施しています。
Anthem(アンセム)の会社関係者によると、今後2〜3年以内に、Anthem(アンセム)の全ての会員である4000万人のメンバー、このサービスにアクセスできるようになるそうです。
患者のデータをブロックチェーンで管理
このAnthem(アンセム)が計画しているサービスには
①Hyperledger Fabric
②Hyperledger Burrow
③Hyperledger Indy
という、3つのブロックチェーン技術が使用されています。
①Hyperledger Fabricとは
Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャー・ファブリック)とは、Hyperledgerプロジェクトを元に開発されているブロックチェーンです。
では簡単にいうと、
このHyperledgerプロジェクトは、ビジネス向けのブロックチェーンを進化させることを目的とした取り組みです。
Hyperledger Fabricにはビットコインのような、仮想通貨とセットになったブロックチェーン技術とは大きく異なる特徴があります。
- 認証されたものだけが参加できる
- 仮想通貨なしで運用できる管理システムを持つ
- 企業向けに適した仕組みを持つ
- スマートコントラクトの仕組みを持つ
認証されたものだけが参加できる
Hyperledger Fabricは、参加するノードを認証する「認証局」を置く構成を採用しています。
これにより認証された特定のノードだけが、ブロックチェーンへ参加できる仕組みになっています。
仮想通貨なしで運用できる管理システムを持つ
Hyperledger Fabricは、仮想通貨の送金機能などは持っておらず、台帳管理に徹したブロックチェーン技術となっています。
企業向けに適した仕組みを持つ
ビットコインで用いられるアルゴリズム「PoW(Proof of Work)」は、ノード数が数千台という大規模なネットワークを作れます。

しかし消費電力が大きく、また厳密な結果が算出されないといった問題があります。
Hyperledger Fabricは、この問題を解決すべく分散合意アルゴリズムを搭載しています。
これにより金融分野で求められる、「ファイナリティ(決済の確定性)」を保つことができます。
スマートコントラクトの仕組みを持つ
ブロックチェーンにおけるスマートコントラクトとは、Hyperledger Fabricの用語では「Chaincode」と呼びます。
ビットコインは送金機能を重視する一方、他機能の追加を簡単にはできません。
しかしHyperledger Fabricは、送金などの機能をChaincodeを使って各自がプログラムを作り込める、柔軟な設計思想となっています。
Hyperledger Burrowとは
Hyperledger Burrow(ハイパーレッジャー・ボロー)は、MonaxとIntelが主導するプロジェクトです。
パーミッション型のスマートコントラクトマシンを開発することを目指しています。
・合意形成エンジン
・アプリケーション・ブロックチェーン・インターフェイス(ABCI)
・スマートコントラクトアプリケーションエンジン
・ゲートウェイ
という、四つの主な構成要素から成り立っています。
Hyperledger Indyとは
Hyperledger Indy(ハイパーレッジャー・インディー)は、第三者によるデータ検証において、ユーザが提供する情報量を最小限にすることができます。
これら3つのブロックチェーン技術を用いたAnthem(アンセム)のシステムがあれば、セキュリティを向上させ、データが消えてしまった際も復元できるようになります。
このように、医療関連の重要なデータ管理の安全性が、より向上すると期待されています。
またAnthem(アンセム)は、最終的にこれらのブロックチェーン上で、保険金の請求と給付を管理しようと考えています。
まとめ
今回は、アメリカの医療会社Anthem(アンセム)の、新たなサービスについて紹介させていただきました。
- スマホで安全に医療データを管理・共有できる
三つの新しいブロックチェーン技術を用いられており、安全性が高い - 最終的にはこれらのブロックチェーン上で、保険金の請求や給付管理を目標としている